2015年春のニューヨーク
2014年3月、大学を卒業してから僕はライブ演奏への興味を失った、とか
曲を作る気がしない、とか言って音楽を作ること、演奏することから逃げまわり
かと思えばライブを観に行っては、良かったよ〜またなんか作る!なんて言ったりして
高校生のときから人生の一定割合を捧げてきた趣味に対して、不誠実だったと思う。
サボることでできた時間やお金は、ランダムにいろいろな場所にいったり、
物に触れたり、創作的でない何かに使ったりしていて、
多趣味な知り合いが多い中で、いろいろなことを少しずつ理解したい自分の志向に
とても忠実な過ごし方をしてきたように思う。これが僕が東京に来た意味!
去年の秋ごろなんか適当言って、「東京の次住むならニューヨークかな」なんて
本気で思ってもいないけど、自分の志向にはとても忠実なことを言っていて
ニューヨーク、いつかは行くぞ、まだいいかな、くらいに考えていた。
☆=
話は変わって、Wallflowerは一時期僕がサポートメンバーとしてギターを弾いて、
一緒のステージに立って楽しい経験させてもらったこともあったり、
付き合いの長い人たちのやっている大阪のインディポップバンドだ。
そのWallflowerがNYC POPFEST※に出演するかもというのは
2015年はじめごろからちらほらと話を聞いていた。
※NYC POPFESTはインディポップという定義の甘いジャンルを愛する、
かなり数少ないニューヨーカーのために世界中から選りすぐりのバンドが集められ
行われるカルト的ライブサーキットイベントです。
この後の流れとしては、
1. WallflowerがNYC POPFESTに出ることになった
2. メンバーの人と話してて、なんとなくついていっても良さそうだ
3. 面白そうだから有給とれたらついて行こう!
という流れで4月頃にはニューヨーク行きが確定していた。
☆=
以下、ニューヨーク旅行の準備から帰国後1週間後までの感想、記録です。
滞在期間は5/28 から 5/31の3泊ほぼ3日。
・渡航準備
ニューヨークの食費は高い、ニューヨークの宿は高い、あと航空券とかも
何よりも準備が必要なのは現金だった。
これは去年の春、始発で吉祥寺に向かい7時間並んで買ったレコードや
その他諸々の部屋で “寝ていた” コレクションを売ることで何とかとり繕った。
あと渡航数日前までどんな服を持っていくか迷っていた。
普段の国内旅行では75点くらいの服を持って行くけど、
ニューヨークだし、スーツケースごと盗まれたり、
もしかしたらナイフでビリビリに切り裂かれるかもしれない。
旅行なんだから捨ててもいい服 vs ニューヨークだからきちんとした服
結果としては捨ててもいい服で旅行して、それが正解だった。
捨ててもいいから精神的に楽に過ごせるし、そもそもニューヨーカーは古着ばかり(?)
土地に馴染む服装でいることで旅行者としてのそれっぽい気分も増すように感じた。
旅行者はハワイではアロハシャツを着るべきだし、温泉地では浴衣で過ごすのがいい。
・滞在期間中
何よりも難易度が高かったのは地下鉄の乗り換え。
小さな駅では電車の向かう方面ごとに地上からの入り口が違うことが多く、
入り口を探すためのGoogle Mapsさえも信用できず、何度も逆方面の電車に乗った。
時間をロスしてしまうし、Unlimited-Passでなければお金もかかる。
あとは精神的な疲労もたまる。
Wallflowerとの楽しい移動中ですら一瞬ストレスがありそうなタイミングがあった。
そういうストレスを感じることってこれまで全くなくて、あたらしい経験を出来た。
よく言う、恋人とディズニーランドに行くと、観覧車に乗ると、
あと祇園祭に恋人と行くと浴衣で動きづらい彼女がイライラして機嫌悪くなる、
そんなようなものをニューヨークの地下鉄乗り換えでは疑似体験できる。
よく聞く食べ物に塩気旨味がない、お菓子・飲み物が妙に濃くて甘いはその通りで
特筆すべきものはない。しいて言うなら、屋台風の食事、
パンのようなものに肉のようなものがはさまった食べ物はだいたい食べられる。
安くて不味いと言わずに食えるのはピザか、マクドか、南米・中東アジアの食べ物。
あと南米の料理は、バジルかと思ったソースが全部パクチー。
今回は泊まったホステルがBushwickという街にあって、
すごく環境がいいところだったので衣食住のうち住の不満はあまりなかった。
Bushwickは、ブルックリンの中でもはやりのWilliamsburgのとなり町で、
オーガニック・サステイナブル志向も強い倉庫街でした。ほぼ↓のとおり。
昼間は倉庫を借りたギャラリーで展示会をやったり、ガレージセールしてたり、
夜はそこがイベントスペースになってクラブイベントが乱立している、
そんなはやりっぽい若者が集まる場所だったように思う。
中目黒の隣に祐天寺があるように、いわゆる左京区の一乗寺の横が高野であるように、
Williamsburgの隣にBushwickがある、と僕はそう納得できた。
Williamsburgは横浜山下公園周辺の景観が広がる住み良さそうな街という感じ。
今すぐお金もらってアメリカに滞在するならWilliamsburgで一軒家を立てて住みたい。
Bushwickは倉庫街なので治安も当然そんなに良くなかった地域(改善傾向?)で、
深夜に歩くときには多少恐怖を感じた。日本にはないような、ゴミが散乱してたり、
乾いた地面の舗装だったり、赤っぽい暗い照明だったり。これもまた人生経験。
一応Wallflowerの旅を撮影するスタッフ、という名目での渡航だったので、
ほぼずっとビデオカメラを構えていたけども、渋谷でたまにいるカメラに向かって
ピースして映り込もうとするアメリカ人はアメリカにはあまりいなかった。
髪の毛のセットとかはせず、どうでもいい古着を着て、サングラスを掛けると
すごく観光客っぽく、特にアジア人観光客っぽくなったので、
改めて多人種のいる地域で僕達はアジア人なんだ、という認識を強く持ちました。
行く店を厳選したけどアメリカのレコードショップ・古着屋はすごく雑然としていて
あたりを掘り出すのには数日足りなかった。(レコファンを一日で見切れないように)
当たり前だけど日本のレコードショップ・古着屋は海外で買い付けをしたりして
ある程度セレクトされたものが国内に入ってくる。基本的には当たりしか無い。
NYCPOPFESTではいろんな人に話しかけられたり、話しかけたりした。
Wallflowerについていったおかげでコバンザメ的に経験できたと思う。
日本国内でも変わらないことだけど、相手がこちらが何者か知っていれば話が早い。
そうでなければなかなか意味のある会話はできない。
結局人と話すときには相手との関係性に基づいた会話をすることになって、
そもそも日本語でも初めて会う人とあまりうまく話せない自分が、
英語で話を振ったり、振られたり、うまくいくことはあまりない。
唯一うまく言ったのが、陽気なヒスパニック系男性の場合。
「君はウォールフラワーかい?違う?スタッフ?まぁいいや、サケを奢らせてくれ!」
「君にあえて嬉しいよ!フェイスブックはやってる?OKこの名前で検索してくれ。」
ナンパかと思ったけど彼らは本当に陽気なだけみたい。
去年も京都で浴衣きて歩いてたら同じようなノリでラテン系の外国人に
一緒に写真を撮ることをせがまれたような気がする。(祇園四条でセルフィーした。)
☆=
僕はこのナンパノリにはなれないけど、会いたい人に会ったらやっぱり話したいし、
会いたい人に会ったときに、うまく話すために「何かしらの人」でないといけない
としたら、何かしらの人でいたいな、と強く思った。
今のところ、何かしらの人になるために自分にとって可能な方法の一つが
そこそこいい曲を作って発表することだと思っているので、
今後もほそぼそと何かしらをやっていきたい。
Dream DiaryのJacobと話したんだけど、今レコーディング中で
2ndアルバムちゃんと出るみたいです。
・帰国後
3日しかいなかったけども塩気のある食べ物、お茶が恋しくなり
大量に摂取している。たぶんもうアメリカで飲んだ甘すぎる水分は体から抜いたはず。
3日間、1日20kmペースで歩き回った疲れからか、帰国後1週間たった今
謎の熱・喉の炎症・せきに悩まされている。
3日間ぶっ通しで遊び続けると体へのダメージがとても大きくなることがわかったので
今後遊ぶ予定を立てるときの参考にしたい。
3ヶ月に1度くらい、楽しい予定を人生を楽しく過ごすためのマイルストーンとして
置いて行きたい。次は8月、その次は11月か12月、もしかしたら1月かもしれない。
アレ楽しかったなをずっと考えているとあまり前を向けないように思えたので
自分なりに楽しかった思い出のことをまとめて、次に目を向けようと思って
文章を打った次第でした。
僕がサポートするどころか全面的にサポートしてくれたWallflowerの皆さんと
休み期間中仕事のフォローをしてくださった会社の皆さん、
Bestなピザを教えてくれたDream DiaryのJacob、
すばらしいイベントを企画したPOPFEST主催・運営の皆さんと
素晴らしいライブをしたRoman à clef,POUNDSIGN,Expert Alternation,Spook Schoolに感謝します。
改めてNYC POPFESTでのWallflowerの演奏はこれまで観たどんな演奏よりも
感情が高ぶるものでした。素晴らしいライブをありがとうございました。
Wallflower - Only In My Dreams (Live at NYC ...
日本で買うと3-4000円するTro Y Moiの新譜が$14.99で売っていたので買った。
これがアジア人観光客だ!という写真。
Bushwickのホステルでの朝食。ここは庭の2階にあるロフト。
芝生の庭で、ベッドがあったりハンモックがあったり。
best pizza to go with Wallflower
ニューヨークで食べた美味しかったピザ。ドデカイ。